たにぞうのブログ

エロゲの感想を書いていきます。たまに他のことも書くかも

演出が光るエロゲOP5選

はじめに

 たにぞうです。本記事では演出が光るエロゲOPについて語っていきたいと思います。EDや作中ムービーについても考えましたが、流石にネタバレに繋がる可能性がかなり高いので、今回は除外します。それでは、紹介に移ります。

 

1.漆黒のシャルノス

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 こちらは2008年にライアーソフトから発売された「漆黒のシャルノス -What a beautiful tomorrow-」のオープニング映像です。

 見ていただければすぐにお分かりになると思いますが、非常に文字が多い映像となっています。バカなオタクはジャーゴンが好きとはよく言ったもので、バカなオタクであるところの私はこの映像を初めて見た時、ほぼイキかけました

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 まあ、こんなものを見せられて興奮しない方が無理というものですよね。どことなく意味深な言葉がバラバラの大きさ、位置で重なり、影によって色を変えるのがダサいはずがない。また、原画のAKIRA氏が醸し出す独特の雰囲気や、Blueberry&Yogurtの音楽ともよくマッチしていて、作品のOPとしては最高峰の出来だと思います。このOPが気に入ったのなら、まず買って損はないでしょう。

 ただ、この作品はスチームパンクシリーズというシリーズの作品の一つなので、楽しむにしても、単体で終わらせるのは非常にもったいないと感じます。仮にこの作品をお楽しみになられたのであれば、関連作品(『赫炎のインガノック』や『黄雷のガクトゥーン』等)も遊んでいただければ、シャルノスへの理解も深まり、長く楽しめると思います。

 

2.夏空のペルセウス

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 こちらは、2012年にminoriから発売された『夏空のペルセウス』のデモムービーです。

 minoriはグラフィック、特に陰影のつけ方に定評があり、映像もそれを存分に生かしたものとなっています。例えば、下のような具合に。

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 しかし、今回私が注目したのはむしろ立ち絵の使い方になります。まず、下にある3枚の画像をよく見てください。

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 少し見づらいかもしれませんが、1枚目と2枚目、どちらの画像でも横向きの立ち絵が使われているのが分かると思います。1枚目と2枚目を見比べると、カメラの角度が90°近く変わってきますが、光の使い方に立ち絵の位置関係の調整、さらに3枚目のカメラをグッと引き上げる動作によって違和感を解消しています。

 新海誠監督がいた時代は、カメラをギャリギャリ振り回してもキャラクターが一切の違和感なしに動いていたりもしましたが、さすがにあれと同じレベルの映像を作り続けるのは無理があるということで編み出された技術といったところでしょうか。

 こういった、限られたリソースを最大限に活かす演出は、潤沢な予算を持つ一般ゲームではあまり見られず、エロゲ業界特有の技術とまではいかずとも、一つの特色と言えるでしょう。

 

3.君が望む永遠

 2001年にâgeから発売された『君が望む永遠』のオープニング映像です。何を言ってもネタバレになるので、言うことは殆どありませんし、リンクも貼りません。映像そのものだけでなく、流れるタイミングが重要なので、実際にプレイして確かめてください。分かる人は、ニチャニチャしていると良いでしょう。

 

4.殻ノ少女

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 こちらは、2008年7月4日にInnocent Greyより発売された『殻ノ少女』のデモムービーです。

 Innocent Greyは、シナリオの出来や雰囲気はさることながら、何よりも原画の異常なまでに高いクオリティで知られているブランドです。原画を手がけるのは、杉菜水姫氏。画集にはプレ値が付き、今でも多くのファンから再販を望まれている業界屈指の実力者です。その実力をを大いに生かした部分が、下の2枚。

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 完成後のイラストは圧巻の出来ですが、やはり、それはそれとして線画も見たいとなってしまうのが人の性。その点、この映像はどちらも見せてくれる上に、段階的に色づいていく演出もセット。最高と言うほかありません。

 単に動的演出という観点では、奥行きを活かした演出などが評価できます。画像にはしづらく、文章で説明するにも難しい動きのため、1分20秒あたりを見ていただくのがよいと思います。ああいった動きを、一般に平面的ととらえられるビジュアルノベルのオープニングで行うのは、間口を広げるきっかけにもなりえますし、何より退屈しないため、高く評価できます。

 反対に、静的演出という観点で見ると、一瞬だけ表示されるオブジェクトや少し動いてからの止め絵などでメリハリが出ているのも評価できます。また、同時に色の反転やイラストの単色化等が行われていて、それらが演出の効果を底上げしているのも評価できます。

 派手なエフェクトやダイナミックな立ち絵の動きはなくとも、その他の圧倒的な力でカバー、むしろ新たな可能性を開くことができることを示してくれる良い映像です。

 

5.ひとつ飛ばし恋愛

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 こちらは、2013年にASa Project(通称アサプロ)から発売された『ひとつ飛ばし恋愛』のオープニングムービーです。一見すると、多少編集が凝っている程度のごく一般的なエロゲOPといった感じですが、この映像の真価は動きの取捨選択にこそあります。

 少し話が逸れますが、アサプロはいわゆる「キャラゲー」をつくるブランドとして知られています。決してシナリオがだめだとかそういうことを言いたいのではなく、キャラクターの魅力を描くのが上手いという意味なので、悪しからず。そろそろ話題を戻します。

 動きの取捨選択と雑にくくって言いましたが、キャラクターのどこを主に動かしているか、と言い換えればわかりやすいでしょうか。例えば、笑っているキャラクターは顔口元、手を上げているキャラクターは手先から肩にかけてなど、動かす箇所を限定しているのがわかります。また、それぞれの場面で、前者は顔のアップ、後者は上半身のみを映しており、情報量もまた限定されているのがわかります。限定されるというと、いかにもネガティブなイメージが付きまといがちですが、私は、前述の通り、限定(取捨選択)こそがこの映像の”キャラゲーOP”としての完成度を底上げしていると考えています。

 皆さんは満天の笑顔と聞いてどのような画をイメージするでしょうか。笑”顔”ですから、顔をイメージしますよね。ここでわざわざ全身や背景などを想像する人は少ないでしょう。この通りに、伝えたいことが明確に決まっていれば、そのほかの情報を無理して入れる必要はありませんし、むしろそれがノイズになることも起こりえます。ですから、それらのメリットとデメリットを比較したうえで結果的に排除することはクオリティアップにつながります。

 上の段落だけでは「悪くはない」程度の評価にしかならないと思いますので、良いと思った理由を説明します。結局上の内容とつながってしまうんですが、何より良いと思ったのは、キャラクターの実在性が上がる点です。現実の人間と会話するにあたってどこを見るか。顔でしょう。その”顔”の動きを、全編を通して過剰なまでに描写することで、視聴者はまるでそのキャラクターが現実に存在する人間であるかのような錯覚に陥ります。そういった類の演出がゲーム体験の強度を上げることは間違いなく、高く評価されてしかるべきでしょう。

 

5.おわりに

 ノリと勢いで書いたせいか、躁鬱の乱高下状態になっています。申し訳ありません。この記事を書いて、エロゲ業界には「様々な制約から生み出されてガラパゴス化した技術」が多く存在することがわかりました。一般に出せないからエロゲなんだろうという話ではあるんですが、せっかく生み出されたのだから、ほかの分野でも活躍してほしいと思ってしまいますね。ブログ開始時に書くことを考えていた記事は書き終えたので、次回以降はゆっくり書いていこうと思います。つたない文を最後までお読みいただきありがとうございました。